不動産登記に関して日本では公信力を認めていません。公信力が認められていれば、登記情報を信頼して不動産を取得した人の権利は保護されるのですが、登記に公信力の無い我が国では、虚偽の登記を信用して不動産を購入した場合、登記上の所有者が無権利者であれば購入者は所有権を取得することができません。不動産登記はあくまでも第三者に対して自己の権利を主張できる対抗力しか有していないのです。
ただし虚偽の登記を信用して不動産を取得した人については、民法第94条第2項の通牒虚偽表示における事例が類推適用される可能性があります。これは登記が虚偽であることを真の権利者が知っていた場合、それをそのまま放置していたのであれば真の権利者にも責任があるとみなされ、何も知らなかった取引の相手方の権利は保護されるのです。これは不動産登記の名義変更が強制執行逃れなどのために用いられることがあり、そのような悪質な行為に関して善意の第三者の権利が否定されるのは理不尽であるという考えから導き出されたもので、最高裁判所でも善意の第三者の権利取得が認められる判決が出されたことから、それ以降は不動産取引に関する裁判でも判例として引用されています。